【11月13日 AFP】中米の先住民が、これまで考えられていたより500年も前の紀元前1000年以前からカカオを原料とする飲み物を飲んでいたとする研究が12日、発表された。
研究を発表したのは米ニューヨーク(New York)州イサカ(Ithaca)、コーネル大学(Cornell University)のジョン・ヘンダーソン(John Henderson)教授(人類学)率いる研究チーム。
ホンジュラス北部のプエルトエスコンディド(Puerto Escondido)村の遺跡で発見した考古学的資料から、チョコレート飲料の原型となったとみられる飲み物が、遅くとも紀元前1100年ごろには先住民の富裕層の間で好んで飲まれていたことが明らかになったという。
遺跡で発見された陶器に残された物質を化学的に分析したところ、中米のカカオの木にのみ含まれるテオブロミンという化合物が認められたそうだ。ヘンダーソン教授は、出産や結婚など特別な日を祝うためにカカオ飲料を飲んだのではないかと指摘する。
ただ、この初期のカカオ飲料は、カカオの果肉を発酵させたビールのようなアルコール飲料だったとみられる。後のメソアメリカ文明で珍重された、カカオの種子(カカオ豆)から作る泡だったチョコレート風味の飲料とは違うものだったようだ。
さらに研究によると、初期のビール(チッチャと呼ばれる)の醸造過程で、古代メソアメリカ人が偶然にチョコレート風味の飲料の製造方法を発見した可能性があるという。
「ビールの醸造過程で、カカオ豆を発酵させるとチョコレート味になることを発見したのではないか」とヘンダーソン教授は指摘する。「現代のチョコレート産業のルーツはこの発酵飲料にたどることができるかもしれない」
カカオ豆は、16世紀のスペインによる占領以前にメキシコおよび中米の一部で繁栄したメソアメリカ文明で、重要な役割を果たしていた。当時、カカオ豆は一種の通貨として用いられていた。また発酵したカカオ豆から作られた泡だったチョコレート飲料は、メソアメリカの社会生活や儀式に欠かせないものだった。このチョコレート飲料が、16世紀に同地を侵略した欧州人により各地に広められ、現代のチョコレート産業の礎を築いたのである。(c)AFP